ノート(日常雑記)/木立 悟
 


八月の背中を歩いていると
目の前で空気が寝返りをうち
その色にその場に立ちすくむ



秋のそばの道を歩いていると
水のようで水でないものが
いくつもむこうからやってくるので
目をつむったまま曲がり角を曲がってゆく



  月 光 風が
  雲を招び
  ただなごむ
  陽のように



曇をあまり見つめないように歩く
曇にむかって言葉をつぶやかないように歩く
すぐに雨が降ってくるから



自分の詩を
あまりくりかえして読まないようにしている
嫌なことが起こったり
酷いめにあったりするから
でも つい
くりかえしてしまう
歩きながら
ときどき目をつむりながら



  月 光 風が
  雲を招び
  ただなごむ
  陽のように


  陽のように








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