地中より/汰介
その部屋のたんすの上には手打ち式のパチンコ台があり
木造特有のほの暗さが特徴であった
そのパチンコ台は子供の手に届かないような高さであり
大人の世界の象徴であった
ご馳走は出前のラーメンや中華丼
ラップが被せてありそれをめくると普段と違う匂いにときめいた
その後デザートに見た事の無い様なフルーツポンチが出たのだった
その時の豪勢な記憶は打ち消す事は出来ないだろう
土は分解するよ
土は奪うよ
土はその肉体を溶かし
土は肉体を養分にして
植物達の肥料になります
暗い壷の中で
涼しげにじっとしている
歴史
そんな儚い物に
惑わされ
翻弄されて
そして
また一人
暗い壷の中へと
――頭蓋骨の窓は
既に開いていたのです
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