「る」/服部 剛
 
さびしさに
ひざをかかえて
タオルケットははいだまま
「る」の字でねむる

あの娘(こ)は今頃
遠い空の下
今夜も誰かに抱かれて
求めあう「る」と「る」を
くみあわせてる

体を重ねても
心が解(ほつ)れても
ひとり歩きの胸にはいつも
ぬぐいきれないものがあり

窓辺に月の光の射す夜は
むなしいやみに向かって
手をさしのべては
だれかの名前を呼んでいる

眠りに落ちて
夢の戸口に入ろう

いつかの君が僕の細腕を
ふいに握ってくれた手のぬくもりを
「る」の字のおなかに抱きしめて 













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