まさかトイレで寝入ってしまうとは/北大路京介
まさかトイレで寝入ってしまうとは
今何時だろうか?
けっこう長い時間眠ってしまった気がするけれど
鍵はかかっていないはず どうしてドアが開かない
ひとり暮らしなんだ 誰も外から押さえつけてやしないはず
ベランダの鍵も 玄関の鍵も閉めてあったはず
いま俺は もしかしたら トイレに閉じこめられている?
電球の明かりが点いてることを有り難がり始めてる
なにかが きっと 引っかかっているのだろう
強引に押したら開いてくれるだろう
まさかトイレで寝入ってしまうとは
ちょっと喉が渇いてきたけど ここで飲むのは躊躇われる
水道水だか
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