quatre cents deux/まりも
 
今日はじめて部屋番号を知った

4階だってことはおぼろげに覚えてはいたけど

緊張しすぎて番号は見落としていたんだ

これで私は迷わずにあの部屋に行かれる

行くかどうかは別として


あの日、初めてあの部屋に行ったのに

前の家の家具が置いてあったせいか

なぜか懐かしいような錯覚に陥って

あの人の輪郭も急に若返った気がして

思わず昔の話なんて少ししてしまった


あのころ、私たちはとても若くて

大切なものが何なのかなんてことに

思いを馳せることもできなかった


今はわかる。

と言いたいけど、今もわからない

何が大切なのかなんてまだ判断できない

だから目の前のあなたを大事に思いたいのに

どうやっていいのかすらわからなくなってしまった


402号室、

いつか一人で訪ねてみようか



・・・そんな勇気があったら今頃行ってるってね

あなたを目の前にして何もできなくなる私は

あのころと何も変わっていないのかもしれない
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