『ヤサシイ救急車のオジサンと一緒に』/川村 透
僕は、いつものように、
かのん、と救急車に乗っていた。
かのん、は三つで
救急車はキライで
でも、救急車のおじさんはヤサシイ、
って言う。
透明な酸素吸入マスクのゴムがきつくて
イヤイヤってする。
ちょっとした
いわゆる、難病、の、かのん、
かぜを引いただけの、かのん、
入院イヤイヤの強情なかのん、も、
今日はお医者さんの言うことを素直に聞いた。
おとうさんと病院に行こう、もうすぐだから
いまおばあちゃんのおうちのまえをすぎたよ
ぎゅうとら、が、みえているよ
トンネルは暗いけど赤くて暖かいね
少しゆれるけどだっこしてあげるから平気
と、そのときMからの電話だ。
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