8/11/しゅう
 
VOX hallの底辺に座り込めば
世界は三つに分かれていた
そとと、うちと、むこう

うたの隙間から光を浴びて
メガネのフレームを
ぐしゃぐしゃに歪めたくなった
飛び込んでくる音も色も、心地よかった

鴨川を越えるまで、振り向かなかった
向こう側から注がれる光を一瞥して
地下鉄への階段を無視した
東山へ走る

電柱にぶつけてメガネはぐしゃぐしゃだ
目の底は真っ赤だ
止まれって聞こえるけど、無視した
青蓮院の車止めにしがみついてた

世界は三つに分かれている
一巡したかと砂利を食ってみたけど
死ぬほど乾いてた
血で満たされそう

ファンフォーレは気のせい
まだ見なくていい
世界は三つに分かれていて
外側でヘドを吐く
口をぬぐいながら、なにも知らないフリをする
飼い殺して溺れて
どこまでも落とし前をつけ損ねる
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