やまない日々に/蒼木りん
 
木曜日の朝

空はまったくの灰色

アスファルトは

いっそ潔く濡れている


薄暗いキッチン

取り残された家には

テレビの音が

冷えすぎない程度の温度を保っている


鳥が鳴かない朝にも

人は行過ぎる

与えられても空腹

与えても義務


トイレの中で

灰色と寒さについて

忘れそうだったことを思いだしてみる

私には私の課題があった


これからでも踏み出す

濡れたなら

乾かさなければ

その作業を惜しまずに


やまない雨に疲れきらずに

ちいさな温かさの感動を忘れずに

確かに懐にしまって

灰色と寒さの日に取り出す

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