302号かんじょうせん/水町綜助
過去に
もうそこに姿のない俺と
君だなんてほんとは呼んでなかったおまえがいたとして
過去の青色はどんな色であらわすべきだろうね
それはどんな色ですっていやあいいんだろうね
俺の頭の中にはまだそのころの匂いがあるけど
たいていの人には
じっさいそんなにいいもんじゃなかったろう
だとかいわれて
でもやっぱり俺には
そのときあったあの匂いは
思い出してみるものより
いいものだったんじゃないかと思えるんだな
だってそうでもなければ
今になってまでこんなにも嗅いでいられるわけがないだろうから
青色だっていろいろあるよ
そもそも俺とおまえの目の色だってくらべればちょっと
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