口誦さむべき一篇の詩とは何か/んなこたーない
 
感情的な人間には敵わない。最近、とある事件に巻き込まれ、強くそう実感した。
感情と感情をぶつけ合うことによってより一層深い理解が得られる、
そういう考え方もあるが、それはいくぶんロマンチックなものの見方であって、ぼくの嗜好にはあわない。
ロマンチシズムが許されるのはプライヴェートな領域だけで、
それを集団生活の場にまで持ち込むべきではないとぼくは考える。
ロマンチックな言説が公共の場でたれ流されるのは、その集団にとって危険な兆候である。

感情や生理的な反応はプレロジカルであるから、理路整然とした理屈も客観的な証拠も通用しない。
自己完結した世界であるから、他者が入り込む余地がない
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