雨三編/渡邉建志
 
1.

金属は湿っている
雨は歌っている
窓辺にはカーテンが
幾百万の色調とともに
輝いている
絵の中の小人が歩き出す
時計は止まっている
目を閉じている人がいる
ある夜のことを思い出している
雨色の時
雨傘の下

幾百万の色調は傘の色
回っているたくさんの傘
走り出す自転車たち
飛散する雨

窓の向こうの景色

月の光
時の止まった窓辺
目を閉じる人
カレンダーを一枚めくれば
30年後の老いた私 


 








2.


  休息は雨の音に遮られ
  散逸する夢の後


クロッシング


  
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