2007-04-02/馬野ミキ
 
6時15分
目覚まし時計が鳴る
たぶんあの世とこの世の間にいるみたいな顔をして煙草を吸う
それから秒針がちかちか聞こえだす
引力に引かれるように瞬速で作業着に着替える
タオルと靴下を2セットナップサックに投げこむ
妻の額にくちづけする

現場、南千住-
三つの路線を乗り継いでいく
喫煙所のある駅では必ず煙草を吸う
息を吸って吐くことによって現実を少しずつ取り込む

誰にもいじめられていないのに
まぶたを閉じて全身の毛穴を塞ぐ
かつての忍びの者たちが
「存在」する為に身を隠したように
俺は常に俺から遠ざかる

詰め所で日本銀行は悪魔にのっとられているという人が
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