チカラナク/蒼木りん
喪失感
というものは
何度味わっても嫌なものです
振り返り
手をのばそうとしても
もう遙か遠く
届かないもどかしさ
腕の中は空っぽを抱くのです
頼るものもなく
こころが宙に浮いたまま
もがいて
苦しい病にひきずられた
哀しさや寂しさの乾く果てに
確かなものを見つけるまでは
しばらく
この傷みの中にいるのでしょう
いまは
つかめなかったものが
惜しくてたまらないのです
涙にもならない中途半端な疼きに
何度も苦しみ
何度も溜息をついて
力無く
身体もこころも衰弱していくのです
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