大きく腕を広げて/AB(なかほど)
指先のその指先の紡ぐ白
伝えたい言葉が先に消えてゆく
自分の主張を伝える手段として安易に詩を使っちゃいけない、とかなんとか、どっかで見たような気がする。けれど、もちろん「僕」の伝えたいことは主張なのかパッションなのか追憶なのか区別はつかない。凡庸なるかな。壊れそうなほど繊細な世界を紡ぎだす言葉を連ねる人には強い羨望とともに、肩をわしづかみにしてでもこの世界に引き止めなければ! という気持ちに駆られる。言葉だけではない。その表情、声、指先、毛の震えまで、
いつかは僕もそこに行くよ。解っているつもりだよ。でもさ、
そんなふうにしながらも、またひとつ消えそうな、
昇るだけの梯子の上で
君の方が先に夕陽になって消えた
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