冬の車窓 〜一〜/服部 剛
 
目覚めると 
駅のホームの端に立つ街灯の下で 
粉雪はさらさら吹雪いておりました 

次の駅の街灯の下で 
雪は舞い踊っているようでした 

その次の駅の街灯の下で 
雪はまばらに降っておりました 

深夜の雪原 
つらなる足跡の行先に 
窓明かりを灯した
一軒の家 

きいろいひかりの窓の内 
幼児を抱えた母親と 
息子と並んだ父親と 
四人の影は食卓を囲み 
音の無い笑い声がひびいていた 

窓の外いちめんに 
しんしんと 
雪は待っておりました 




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