馬頭観音にて/結城 森士
馬頭観音の前で出会った
見知らぬおばさんと僕は
暫くの間、何かを話した
僕は何を話したのか は
あまり覚えていない
僕の前世やら
僕の霊気やら
彼女の生い立ちやら
偶然は偶然ではないという
運命論やら
善行やら……
*火の出、火の入り*
あなたがいくら話しかけようとも
あなたの快活な悲しみはどこへも行かない
あなたの饒舌な苦しみは誰に向かうことはない
あなたは人に話しかけるときに食付いて離さないような
面持ちでもがいて(、もがいている。やがて運命を信じて神を信じていることが(例えば僕にとっても偶然じゃなかったかのように))目の海で訴えている
あなた
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