湖水のほとり/三州生桑
凍りかけてる湖水のほとりで
ゆらゆらゆれてるあれは何?
あれは仔牛の頭蓋骨
あれは仔牛の頭蓋骨
ポッカリ開いた眼窩から
無常があふれ出てゐます
冬冬冬冬(トウトウトウトウ)
仄かな幽かなあの音は?
季節はづれの雹(ヒョウ)が降り
骨をいぢめてゐるのです
あの骨は泣いてゐるのか知ら?
言ひ残したことがあるやうです
春になれば泥鰌(ドヂャウ)たちが
舌の代はりとなるでせう
水銀のやうな月光が
哀れな骨に垂れてゐます
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