水仙の花/
服部 剛
水仙の花のように
できるかぎりの背伸びをして
星の花びらの中心に開いた
黄色い唇から
恥ずかしげもなく
むじゃきな唄を奏でたい
( 昔々
( 少年ナルシスは
( 自らの美貌に酔いしれたまま
( 花になってしまったという
もう人間には戻れない
彼の密かな唄声は今も
この世界中に
背伸びをして花開く
水仙の黄色い唇から奏でられ
頭上の冬空に浮かんだ雲は
今日も流れる
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