1月30日 語る死す(カタルシス)/りつ
「怨霊ではなかった」
深夜2時。ラップ音がした。
(ここまではいつものこと)
突然、体感温度が下がり、
寒くて寒くてたまらなくなる。
来ることは予想してた。
いったい私に、何を告げたいのだろう。
表面的な怒りの下に答えはあった。
淋しい。
淋しくて淋しくて堪らない。
気が狂うほど、淋しい。
何故、淋しいの?
誰を探しているの?
私は携帯を持ち、詩をひとつ綴り始めた。
その魂は、眠ったのだろう。
安心したように静かになった。
怨霊でも何でもなかった。
愛しいひとを見失い、
気が狂うほど動転している、
優しい女の霊だった。
「指環
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