呼べど応えぬ/
木立 悟
割れる陽に花芯は昇りまた昇り
雨音のはざまに浮かぶ花微塵
けだものに片目預けて花見酒
刻みあう互いのすがた風ふたつ
指笛を引き千切る文字すくう春
花に乗る雪山ひとつ舐める月
舌先を孕ませて笑む毒の翅
降りる手と昇る手の会う荒れ野かな
命など人など知らぬ春すぎる
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