夜の想い/レタス
 
アイナメと若鮎の甘さは妻の味

すき焼きに染みこむネギに舌打つ

豚汁に浮かぶ脂の美味さ

出刃を研ぎ石鯛狙う

シロギスの透明を如何に料理せむ

ふつふつと湧き上がるサザエかな

ハマグリの真白き汁を待つ春を

深海に繋がれた貝の孤独

味噌煮込み我が命を養う

寿司握る職人の美しい指先

焼き鳥の煙りに誘われて失望を重ねる

カジキの大トロ明日の夕餉は照焼に

柚薫る水炊きの湯気を前に妻が頬笑む

分厚い銅鍋買い込み妻の雷が飛ぶ

義父の残した柳刃はさくりと刺身を裂くつわもの

塩辛い紅鮭をお茶漬けに喜ぶ余韻

コルドンブルーが好きだった友の面影追いながら

家系のラーメンにタマネギ・ニンニク営業は無理だった

リゲルの想い今は微かに寿命を延ばす

アルテミス女性の象徴は変わらず

半獣神のパンの笛心を癒やす

深海に沈んだ大和の舳先に菊の紋

我が国の特攻がISを走らせる

大陸の血が流れるのに争うのは何故か

疲れた今日を引っ提げて今夜は眠りにつく









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