晩夏/はなもとあお
 
年齢に生かされる宵扇風機


夢うつつ水中花に見る未来像


箱庭やとどまる過去といまの檻


眠らずの幽霊みたく闇を描く


さみしさの性を封じる夜光虫



黙ってる自分の声が蝉時雨


障害の土俵で始める夏の夕


鶏頭となるも牛後になるなかれ


辛いいま光を滅す熱帯夜


峠ごえ明ける日の朝肝試し


眠れ眠れ学べや学べ暑中見舞


前を向く覚悟にしみる砂糖水




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