夏の焚き火/佐々宝砂
 
極楽や照らせば光る蜚?(ごきぶり)も

持続可能な崩壊、夏。

botにも陰日向あり半夏生

汝が前の妖かし涼しくて夜更

真夜中のデパート小袖の手はゐるか

座敷ぼこ居らぬ古家の古簾

実体はなし簾には影あれど

美しい月夜でボツリヌストキシン

洗ひ髪より漂へる妬みかな

冷房が効かない斬首だ

簾ぶち破れば畳にぼろぼろ

暑いからコンクリに詰める

小平次は生き蠅は死す昼餉かな

桑苺酸つぱしガキは赤いもの

みんな夢あかくないのよ桑の実は

魔女たちよ集えここには夏の焚き火

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