焦土月齢/木立 悟
 






照らしても見えぬまま在る虚ろかな



降る桃と鈴のはざまを染める息



吹きだまる吹きだまる棘吹きだまる



あたふたと耳に目薬ひかり喰み



人工の水の半身またたきぬ



光をば錐で揉み込む光かな



肌つづみはらわたのうた放ちけり



鉛筆と指のあいだを喰らう笑み



夜の手を照らす無言と雷と雷



死と青と学びの時間すぎる冬



嘘が指湿らすはざま雪ひとつ



血と水と音の三角かがやきぬ





















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