夜や夜/
木立 悟
夜や夜ひとつがひとつをすり抜ける
轢かれては蹴られては筆たけりけり
記憶しかないというなら冬を喰え
おのれから去る笑みこそがおのれなり
波と星はざまの銀に生は無く
血を舐めて冬は冬にこそ還りけり
夜の背に蒼と灰の風うちよせる
夜や夜ささやかぬものささやきぬ
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