涼/
はるな
ゆうだちに窓にはりつく蛾を迎え
てっぺんをあかるく染める夏至の月
梅の実と氷砂糖がからと鳴る
紫蘇の葉に赤く染まるる指の香よ
梅雨寒の肌と肌とで温みあい
蛇の子の細くすずしいちいさな目
朝方の白鷺の背に涼をとり
台所胡瓜の棘に夏をしる
曇天を切り抜くように揚羽の背
蛤とともにぱかりと夏ひらく
夏衣に淡い気持ちも透けて見え
諦めも溶かして固め寒天の夜
いつくしみ蚊帳の外には出さぬまま
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