晩冬夜/木立 悟
 





火の境い光の境い冬ひとつ


穂の奥の鉛の森ぞ燃えさかる


岐に至る言葉のすべて水を招ぶ   


にきにきと片手の光においけり


冬の背に失いしもの踊りゆく


雨の子と鉱の子の家つなぐ影


三日月に出す舌の数うたとなる


天の火の輪に向かいあう羽の闇


忘れたくないもの忘れ負を燈す


ふところの苦みを孵す晩冬夜













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