晩冬夜/
木立 悟
火の境い光の境い冬ひとつ
穂の奥の鉛の森ぞ燃えさかる
岐に至る言葉のすべて水を招ぶ
にきにきと片手の光においけり
冬の背に失いしもの踊りゆく
雨の子と鉱の子の家つなぐ影
三日月に出す舌の数うたとなる
天の火の輪に向かいあう羽の闇
忘れたくないもの忘れ負を燈す
ふところの苦みを孵す晩冬夜
戻る
編
削
Point
(2)