冬と子/木立 悟
 




雨あがり風の履歴の騒がしさ



煙ゆく光を原に削る冬



ふたつ膝ふたつの光だきよせる



見えぬ背の見えぬ行方を描く鳥



器からしずく持ち去る紅の跡



たましいよ確かさのないみなもとよ



なだらかなひとつのすがた幸ひかる



触れるなと言われて触れる夜の笑み



左目に嫌われるたび澄む右目



冬尽きる地に鳴り止まぬ草と骨



はずれてもはじかれても子は駆けてゆく



冬は在るただ哀しげにやわらかく



冬と子の離れて近き手を結ぶ













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