黒南風/右肩良久
 
ほととぎす米は粒立ちて炊きあがる
万物の匂ひ放ちて梅雨入かな
麺麭の肌黴の楽土は燦然と
著我の咲く野に雨の声雨の唄
靉靆と言ふ語に逢ひぬ五月尽
ほとばしるごとく青蔦壁にあり
五月雨や古代の魚形装身具
黒南風の中天神の札を買ふ
黒南風や口裂くるまで笑ふ人
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