浪洞/木立 悟
 




墓の無い終わりを告げる水の羽




弥生(やよい)より流れ落ちたる卯月(うづき)かな




とどまらずただこぼれゆく冬の雲




傷を抱きまたたくつばさ傷を呑む




海鳥の語り繙(ひもと)く河口の灯




帳(とばり)から臓腑(ぞうふ)へ至る吹雪かな




供えても供えても消ゆ火は緑




骸(むくろ)には羽たちのうた浪の洞










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