冬応/木立 悟
 




離れてもなお離れ得ぬ漠鬼かな



つむる目にひとつこぼれるななかまど



つむる目の光のなかを去りゆく背



己れから己れあふれる獅子頭



さかさまの凧の絵ひとつ空に貼る



降りつもり目の奥に鳴る雪の鈴



生の失い声に応える夜明けかな



冬を呑むそのかがやきをかがやきを









戻る   Point(9)