雲ゆく人よ/
天地無用
吹き渡るのは九月の
上風を食む草いきれの歌
輝きのなかの
沈黙よりもお喋りな
聞き流し
自転車は立ち止まり
カレーパンを頬張り
文庫本を繰って
雨上がりにはきっと
昨日よりも青く
午後をもっと愛している
ふわふわ綿雲をゆく
土手の上の
遥かな旅人たち
挨拶は終えましたか?
握手はまだですか?
合図は決まりましたか?
汗を拭い
水平線に向かって
高架下をくぐり
続いていくのですね
理由も知らない明日へ
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