悲しみの場所/吉岡ペペロ
 

クラシックは悲しい

おだやかな長調の曲でさえ

悲しみしかないのだ

それはこの宇宙に生き物たちが

棲息していることと同質の悲しみだ


発作をやり過ごして

暇つぶしと切実の群れのなかにいた

クラシックが響いている

台湾のことばが満ちている

中国人の男性が喋るような

やかましさや尊大さのないことばたち

指先とまぶたがねむたい

心臓がどきどきするような予感

息の仕方は覚えている

この発作で死なないことも知っている

すべての虚無を請け負っている


クラシックは悲しい

おだやかな長調の曲でさえ

悲しみしかないのだ

それはこの宇宙に生き物たちが

棲息していることと同質の悲しみだ
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