時の坂道/るるりら
 

北に向かって高い 炎天下の坂道を 登り続けると
頂は、遠くからは見えていたはずなのに近くに来ると てんで見えない。
とほうもない時間を歩いたはずだよ ほら もう頂が見える‥‥きがした。
五時を告げるスピーカーが、くらくなろうとする こどもに早く還るように
言っている。

眼下に見える棚田の稲は まだ早苗、水に夕日が反照し 風が吹くたびに
稲がそよいで、谷の田の総てで一匹の生き物の鱗のよう 山にかかる赤い
夕陽は 竜の珠のよう。私は たった今 ここは 竜の住む場所と たった今
名付けた。

棚田全体も うねっているが、道も又 うねっている 徐々に登るほどに  
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