ベーコン( 抄)/吉岡ペペロ
 

志願して空襲対策部で働いていた

街は絶えまないナチスの爆撃に破壊されていた

どのように対策を工夫しても破壊に追いつくことは出来なかった

空襲のあと街やひとびとの残骸はそこかしこでその時をとめていた

命が叫んだままとまっているようだった

残骸に命の叫びを聞いていた


ぼくはぼくの命の叫びを聞こうとした

それは残骸にでもならなければ聞こえないようだった

街やひとびとの残骸

瞬間それは命の叫びになっていた

ぼくはそれに自由を感じていた

好きなように生きているつもりが

ぼくは命を突っ張らせて生きていた

自由

叫んでやる

欲求

ぼくは叫びたい

せめて精密な

偶然性に富んだ

命の欲求のものまねでもいいから・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
愛すべきジョージ・ダイア

彼は命の欲求を叫ぶように生きていた

彼を失ったとき

あの空襲で残骸となったすべてのものを

幸福に見つめなおしているじぶんがいた

彼を叫んだことを

ぼくは誇らしく思って泣いた
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