(最終回)アーヤと森とふしぎなひかり/吉岡ペペロ
 

あの日まあるい芝生でヒョウスケくんを待ったことをまるでさっきのことのようにアーヤは森の木々を見つめながら思い出していました

ヤンおばさんの家から飛び出したアーヤはまあるい芝生に向かって走りました

森の木漏れ日が土色のうえを揺れもしないでじっとしています

買い物ぶくろを持ってないから身軽です

ひょいひょいひょいとおおきなねっこを越えてゆきます

森はだまったままでした

いつもだまったままなのにあの日は余計にそうでした

森のなかだけ時間がとまっているようでした

あんまりゆっくり、時間がながれてるから、うごいてるのが、わからないんだ、

アーヤは森の木々が風に揺れるのを見つめていました


[次のページ]
戻る   Point(4)