夜の埠頭にて/梅昆布茶
人気の無い埠頭から望んだ街はただ灯ばかりが無機の光を放ち
まるで人間の営みとは無関係な顔をしているみたいで
かすかな海の匂いを抱いてそれでもふと
人を遠い空間にいざなって行く
僕にとって埠頭は異国の入口でもあり
別な宇宙への
通路にも思えるのだ
言葉は
誰かに伝わるという
幻想を前提に成立しているみたいで
まるでこの埠頭の風景に重なるのかもしれない
革命は起こすものではなくて時代の必然によって
起きるものらしい
でも世界がどうあろうと
この埠頭を吹き抜ける一陣の風は
相変わらず
宇宙や永遠の
部分であっても
それを内包している
僕たちの大切な
荒涼なのかもしれないのだ
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