あの清洌の真下/吉岡ペペロ
 

赤茶けた透明な木々が

大きくて清々しかった

あの清洌の真下を歩く

歩いている

それが紙をめくられるようにちぎられる

ぼくは夢を見ていた

あのひとに昨晩

祖国の秋について話したからだろうか

ぼくはあのひとに

偉そうなことを言ったのを思い出していた

あのひとは命とは感じるものだと言った

ぼくは命とは使うものだと言った

だけど言い争いにはならなかった

どちらも正しくて

どちらもすがりつくような思想に思えたから

すがりつく

なにに?

ぼくもあのひとも

この世にすがりつき

しがみつき離れたくなかったのだ
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