ひかり/吉岡ペペロ
 

月はあんなに高いのに

その真下しか海は光っていなかった

ぼくがこうやって命を使っても

世界じゅうを照らせないのとおんなじだ

ひかりはこの世の一部分しか照らせないのだ

そのことがぼくを静かにさせていた

この世の一部分が

こんなに大切だったとは

不思議な静けさのなかで

ぼくは知ったのだ

ぼくはこの世の一部分のひかりになる

ひかりになりたい
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