ゆりかもめ/
吉岡ペペロ
ゆりかもめに乗っていたら
富士山の白がくっきりと見えた
忙しくそれを見つめながら
誰に伝えたいのかを考えていた
寂しくもないのに寂しかった
ガキのころちょうどこの季節
ベランダから見えていた富士山
おからの匂いが坂道を湿らせていた
なんにも考えずに歩いていた
ゆりかもめから見える富士山よりも
はっきりと目の前に映し出されていた
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