霊園の蝶/
梅昆布茶
浅い秋の山麓にはまだ夏が僅かに匂いを留めている
霊園のなか
木漏れ日に似て
かすかな静謐の羽音を伝えるもの
誰かの魂の代償としてここにやすむメタモルフォーゼの
しるし
霊園の空は高く
夏をとむらうように
ほのかな秋のいきづかいが蝶となり
またどこか澄んだ水場の畔へと
帰ってゆくのに
違いない
それを
鎮魂と思っていたい
気がするのだ
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