深紅の風/マーブル
 



あの深紅の風には
乗れませんでしょうか?
わたくしは夕空に
問いかけるところでした
時間がたなびくのを
この目が確かに
みとどけていたのでした


ピアノの白い鍵盤の上を
光のくちづけが降りかかり
そっと音もしなく
置いてゆくあの
しなやかな手触りは
今か今かとばらいろの
太陽が沈みゆく光景に
色褪せもしない小指ほどの面影が透明な糸を
絡ませながら
こころの奥で結ばれて
わたくしはやっとのこと
風景が硝子に寄り添うのを
見つけられたところでした


俄か雨がまだ些か名残惜しそうにアスファルトに降りかかる頃でした
反射された色とりどりの
水の虹が緑の葉にぴたりと
落下して
その雫ひとつひとつには
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