(第1話)アーヤと森とふしぎなひかり/吉岡ペペロ
アーヤは森を眺めるのが大好きでした
森の甘い匂いがアーヤの鼻を撫でています
森のうえでは雲がぐんぐん姿をかえてゆきます
とうとう青空だけをのこして雲は見えなくなりました
森のやわらか色の緑はずっと揺れたままでした
緑は風に揺られるだけで雲のようにはなくなりません
優しく波うつだけでどこにもゆかないのです
アーヤはしたからお母さんの声を聞きました
むこうの森のヤンおばさんが風邪をひいているらしいから、このパンとジャムとバターを届けてきてちょうだい、
アーヤはヤンおばさんと大の仲良しでした
アーヤの笑顔といっしょにね、
お母さんはそう言ってアーヤにお使いの支度をさせました
この森を抜けたらまあるい芝生があるから、そこに着いたら太陽を見るんだよ、じいっと見るんだよ、ちょうど太陽が動いている方に道があるから、その道をすすんでもうひとつの森を抜けたら、
うん、分かってるよ、いってきまあす、
アーヤはそう言っててくてくと目の前の森のなかに入ってゆきました
(つづく)
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