通夜に向かう/吉岡ペペロ
 

東の景色が灰いろだった

ピカピカと白が走って

ぬるい風が街を撫でて

大粒の雨はぼたぼたと

しばらくしてざんざんと

音立てて傘のない僕を

濡らしては濡らしては

服を着た生き物である

僕は今から通夜に向かう


雨足がやや弱まった

空を見上げると

そこからだけ

太陽の光が射していた

まだ僕のまわりは

雨がぱらぱらと降っていた

いや

まだ光のまわりは

ぱらぱらと雨が降っているに違いない


東の景色が灰いろだった

ピカピカと白が走って

ぬるい風が街を撫でて

大粒の雨はぼたぼたと

しばらくしてざんざんと

音立てて傘のない僕を

濡らしては濡らしては

服を着た生き物である

僕は今から通夜に向かう
戻る   Point(1)