日差し/吉岡ペペロ
 

中世ペストの流行によって

この街の人口の1/3から半分が亡くなったのだそうだ

日差しに照らされていると疲れてくる

だから建物の影をさがして散策する

さすがビールの国だ

通りすぎる女の子たちがアイスクリームを持つように

金色の入ったプラスチックカップを片手に歩いている

市庁舎のまえで地図を広げる

+印がたくさん目についたから教会をまわってみようと思う

ひとつ目にはいる

固くて重い扉をひっぱるように開ける

ふたつ目にはいる

石埃の香りがひんやりと包んでくる

みっつ目にはいる

どの長椅子に座ろうかなって歩を進める

よっつ目にはいる

きらびやかな装飾が歳月に汚れている


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