亡霊たち/吉岡ペペロ
坂道をあがると夕日が現れた
エスカレーターが欲しいなあ
それからまたすこし下り坂をゆく
もとはここは小山だったんだろう
鳥がきいきい啼いている
アスファルトの温度の匂い
むかしの木々たちの亡霊が
いい気を放って癒してくれている
ひとりでにやけてしまう
土台になるのが我慢なとき
そこに喜びがないようなとき
そこには惨めさしかないようなとき
引き込もらないで
破壊しないで
この亡霊たちを思い浮かべていよう
この亡霊たちを感じて
ひとりにやけながら歩いていよう
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