梅をゆく/
吉岡ペペロ
六分咲きの梅をゆく
見つめる訳でもなく
香りのなかを歩いてゆく
ちいさくなって
盆栽を歩いてゆくようだ
つぎの休みまで待てなかった
人込みはまだ
春ほどではなくて生を隠している
お茶屋さんや
仏具屋さんが眼下にゆれている
2時46分になる
黙祷の協力を求められる
おばあさんたちが泣いていた
それにもらい泣きした
六分咲きの梅をゆく
見つめる訳でもなく
香りのなかを歩いてゆく
ちいさくなって
盆栽を歩いてゆくようだ
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