光よ!光!/吉岡ペペロ
 

茶屋町からマリンライナーで四国に渡る

瀬戸内の海辺の町並みを眼下にしていると

あの津波を重ねてしまう

渦になりきれない潮のたわむれを見つめていると

いろんなこころを自分を使って実験してしまう


ふたりだけの場所や秘密は犯されてゆくだろう

ぼくとは違うひとと美術館にゆき

銭湯にゆきシュウマイを食べ

喫茶店にゆき焼鳥屋にゆき

あの手のつなぎ方をし

あの愛し方や愛され方をするだろう

津波の映像を押しやる

ぺろっと剥かれた虚実皮膜のこの世界に

ありふれた幸福のようなものを重ねてゆく

光よ!光!ぼくはもうひとりきりだ!


茶屋町からマリンライナーで四国に渡る

瀬戸内の海辺の町並みを眼下にしていると

あの津波を重ねてしまう

渦になりきれない潮のたわむれを見つめていると

いろんなこころを自分を使って実験してしまう
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