クアラルンプールにて/吉岡ペペロ
 

ジャカルタ行きの便を2時間待っていた

雨雲だったが滑走路はまだ濡れてはいなかった

雷がごろごろ言っている

クアラルンプールの町の一角にも

たぶん親に見捨てられた姉と弟がいる

彼らはマレー語でおへその話をしている

日本でのトラブルの経過報告を聞いて

ケイタイを閉じた

いつのまにか滑走路は雨に濡れて黒ずんでいた

弟がシャツをズボンに入れて

ひんやりと柔らかい姉の膝まくらで寝ている
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