霧のなかに/吉岡ペペロ
ゴルフ場は途中ガスで煙った
灰色のガスで出来た建物に四方を占拠されたみたいになった
キャディーさんに方向だけ教えて貰ってその建物に打ち込む
ボールがちいさな点になってガスのなかに消えてゆく
灰色のガスのなかでも
あらゆる科学や物理の法則が働いている
そしてボールはどこかに着地する
たぶん人生も大切なことほど
霧のなかに打ち込まれてゆくボールのようなものなのだろう
全員がティーショットを終える
それぞれがだいたいの見当をつけてガスのなかに入ってゆく
たぶんこの辺りではなかろうかという曖昧な地点に向かって歩いてゆく
戻る 編 削 Point(4)